この頃休まずに自転車で来るようになったFくんは、必ず学校⇆家庭の連絡帳を見せてくれる。
先生方がていねいに書いてくださっているので、学校での様子がわかって面白い。
昨日の家庭への連絡欄に「あと10分早く家を出るようにしてください」と書かれていた。
ほとんど毎日10分から15分位の遅刻なのだ。
けれども休んではいない。

去年突然に学校が一斉休校になり、登校できない時期が続いた。
その後再開されてから、かなりの頻度で、母から電話があり「おなかが痛くて学校休んだので峠も休みます」ということがあった。

仮病だとは思っていない。
多分、初めて「ちゃんとした」学校生活を経験して、しかも逃げずに彼なりに頑張って精神的にパツンパツンなのだと思っていた。

はっきり言ってしまうと、小学校生活で当然身につけるべきことを何も身につけていない。
もったいない6年間。
峠へ来始めたのが3年生の3学期だったが、特にもったいない四年生1年間を経て、彼は確実に劣化した。
なんとかしたいと奮闘しても土台になるものが何もないし、家でのことには助言や要望は言えても、私たちがどうにかすることじゃない。
というか、どうにもできない。

それに理由は全くわからないが、当時個別支援級に対して強い差別感を感じていた。
じゃあ普通級で頑張ろうという気持ちがあるかといえばほとんど無に近く、授業中寝ていることも多かった。
5年生の担任は峠の方針に理解を示して、文章練習の課題も忙しい中で同じようにやっていただけたが、30人以上いるクラスの中で「やる気なしおくん」ひとりのためにできることは限られてしまう。
六年生になって、ようやく国、算だけ個別級へ交流という形を取ったけれど、安易な内容にどっぷり浸ってしまい、何の効果もなかった。
中学進学を機に個別支援級となって、先生方のおかげでようやく学校生活というものを体験し、彼なりに頑張り始めている。

そんな中での連日の遅刻。
その上犬の散歩にも行かなくなったと母が書いている。

他の子達が帰るのを待って一対一でいろいろ聞いた。
夜、何時に寝るの?
ウーン…わかんない
部屋に時計ないの?
ない、スマホだけ。
遅刻しないようにするには何時に家を出ればいい?
中学生になったばかりの時、峠でそういうこと話あったよね?そういうこと全部忘れてるんじゃ自分でちゃんとやれないじゃん。

まじめに、ほんの少しきびしく話をしたのだがどうリアクションをしたらいいのか全くわからない感じでブスッとしていた。
「峠は怒られるから行かない」っていうかなー?