朝、いつも教室に行って猫の「テマリ」を外へ出す。
入り口の戸をがらり、テマリか左右に注意しつつ外へ飛び出す。
そのあと後ろ足で蹴られてずれている入り口のマットを直すのが一連の流れ。
そして、周囲を見渡して「点検」する。

何を?


去年の9月の朝、マットを治そうとかがんだ目の先に何やらヒモ状のものがマットに沿って置いてあった。
「あいつめ!!またやったな!」
と思いつつ、でもどうやってこの蛇を中へ持ってきたのだ?
入り口の戸はもちろん閉まっているし、階段側の窓も閉まっている。
庭に面した窓は夜も少しあけてあったが…もしかして、蛇は自分で入り込んだのか?
ナゾだ。

以前と違って蛇だって住む場所を失いつつある。
おととし、川に住んでいるかなりでかいやつを、テマリは見つけて戦いをしかけ、スタッフそうくんに止められた。
「オマエー、かわいそうだからいじめるなよ」
と腕に蛇を巻きつけたそうくんに怒られて恨めしそうにしていた。

テマリは本当に二重人格、いや、猫格で、散歩の人たちには愛嬌振りまいてスリスリで「かわいいかわいい」と褒められている。
自分が気に入っている人が通る時間をわかっていて、来る方向を向いて道の真ん中に座っている不思議。
それも1人2人ではないのだから。
みなさんとても感心してくださる。

その裏ではかなり獰猛で野性味を発揮している。
おかげで出没するムカデはいなくなったけれど、どこで何をしているかわかったもんじゃない。
散歩の人たちはその裏の顔を知らないのだ。
もっとも、峠の人間はそれを承知でベタベタかわいがっているのだから困ったものだ!
私は違うよ!!
ただテマリが寝ている側を素通りできないだけなのだから。
怒るときにはガツンとやっております!